しじみ汁(しじみじる)
島根県東部の斐伊川(ひいかわ)最下流に位置する宍道湖(しんじこ)は全国で7番目に大きな汽水湖。大粒のヤマトシジミは、国内トップレベルの漁獲量を誇る。全国的にも有名で、宍道湖でとれる代表的な食材「宍道湖七珍(しんじこしっちん)」の一つに数えられる。出雲地方では、このシジミをを使った「しじみ汁」が日常食として根づいている。
宍道湖のシジミをとる漁師はおよそ300名。船上から人力でシジミをとる手掻き操業、船をエンジンで進ませ、動力の力でシジミを獲る機械掻き操業、漁師が浅瀬に入ってシジミをとる入り掻き操業があり、シジミのとり方はさまざまである。シジミをとりすぎないように、漁師1人につき約100kg内に収まるよう採捕量に制限を設けている。
シジミの選別は、漁師やその家族の役目。アスファルトに広げたシジミの山を手で鳴らしながら、カラカラと鳴る殻の音を聞きながら身の大きさや質をチェックする。選別されたシジミは、飲食店や宿泊施設などに直卸される。
ひと昔前は、シジミをどっさり積んだ箱を乗せたリヤカーをおばあさんが引いて、まちなかを売り歩く光景がよく見られたという。東京の納豆売り、京都の豆腐売りといった物売りと並ぶ、朝の風物詩であった。
また、宍道湖だけでなく出雲市にある神西湖(じんざいこ)でも数は少ないがシジミがとれ、地元民に親しまれている。